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「いにしえの道・奈良〜京都100km遠足」歓走紀
                        <古都歴史街道を行く> 大西辰夫2002年10月26日(土)

この大会は、71日間で5,000kmを走破する「ラン・アクロス・アメリカ」で見事完走を果たした坂本真理子さんの日本100マイルクラブの主催で、競技性のある大会でなく地図を見ながら、いにしえの道を十分に歴史を感じながら楽しんで走る事を目的に開催された大会である。
 コースは奈良(長寿村)スタート(伊勢街道)―桜井((山之辺の道)―大神神社―石上神宮―春日大社―東大寺大仏殿(奈良街道)―木津町―宇治市(京都寺巡り)―清水寺―平安神宮―銀閣寺―御所―二条城―東寺―伏見(力の湯)ゴールとなっており、まさにいにしえの道にふさわしく古都・奈良京都の街道や神社仏閣を巡る、まさに遠足である。

 前日、長寿村の受付で頂いた参加者名簿を見ていると、なんと神奈川県の走友、HFさんの名前が出ていたのにびっくりする。会った時に聞いてみると、午後3時まで仕事をしていて急いで新幹線でやって来たとの事。午後8時から始まった開会式で、事前に頂いていた地図をもとにコースの説明を聞くが、なにしろ100kmにおよぶ道のりである。みんな実際に走って見ないと分らないと言った思いである。参加資格の一つに地図を読める人とあったのが道理である。コース説明の後、全員が簡単に自己紹介をする。参加者が50人の小さな大会だから出来る事であり参加者同志がすぐに親しくなって行く。

  開会式終了後は、大広間と仮眠室に分かれての就寝となる。 当日めいめいが午前2時〜3時頃に起きて、朝食や着替えをしてスタートの準備をする。外は早朝のためか少し寒く感じる。スタート場所の駐車場は24時間営業のため、街灯が明々と照らされていた。やがて午前4時、スタートの合図で一斉に長寿村をスタートする。長寿村を離れると、暗くなるがまだ街の中のため街灯があり走るのには差し支えがなく、すぐに奈良と伊勢を結ぶ昔の家並みが続く伊勢街道に入る。スタートの時に前にいたため私とHFさんが先頭になり、みんなが後からついて来る。
  いつもみんなの後をついて行くのに、こんな事は始めてである。 意識的にペースを落とし後の人に先に行ってもらう。数人が前に出て来たので今度は私達が後ろからついて行く、耳成山を一周する頃には、集団が分かれてしまう。
  やがて第一チエックポイント桜井駅(10.7km)に到着。1時間6分9秒である。ここで給水を取り、持って来たペットボトルにお茶を入れて貰い出発。しばらくして道の間違いに気が付く、思い違いである。200mほどバックして正規の道に戻るが、こんな分りやすい所で間違ってはと先を思いやりながら走る。やがて山の辺の道に入ると、とたんに街灯がなくなり暗くなる。ウエストバッグから懐中電灯を出して道を照らしながら走る。 しばらくして、橋の手前で迷っていると後の集団が来たので一緒について行く。 10人程の集団で、やはり人数が多いと心強く「あっちや、こっちや」と言いながら走る。

  月明かりと各々の懐中電灯の明かりを頼りに、広くなったり狭くなったりする道を行く。大神神社を通り、桧原神社を通る頃には空が少し明るくなり、ライトがなくても走れるようになる。景行天皇陵を通る頃には周囲がすっかり明るくなっていた。 やがて第二チエックポイントトレイル青垣(20.3km)に到着。2時間22分47秒である。ここで給水と給食を取って出発。しばらく走っていると、前方に天理の走友のHTさんがいた。話によると、このあたりは練習コースで良く走っているとの事、今日も練習で走っているところで、しばらく一緒に走る。道沿いには柿の木が多く実がいっぱい付いている。しばらくして、天理教本部のそばを通り過ぎ、石上神宮を通り過ぎると、やがて名阪国道の高架をくぐり抜ける。このあたりは地道から舗装道路に変わっていた。

  やがて第三のチエックポイント白川溜池(31.2km)に到着。ここの溜池はまるでダムのようであるが、10人程の釣り人が来ていた。ここでHTさんの声援を受け出発。 しばらく走り、弘仁寺を通り過ぎた頃、一緒に走っていたHFさんが調子が出てきたのかどんどん前に行ってしまう。ところが、標識を良く見ると間違った方向に行ってしまっている。慌てて追いかけて行くがなかなか追いつかない、やっと追いついて間違っているからと一緒に戻って来る。崇道天皇陵のそばを通る頃には又地道となり、一人しか通れないような山道が出てきたりする。やがて山道も終わりしばらくすると、新薬師寺の所に出る。 そこから春日大社の境内を通り、第四のチエックポイント大仏殿前(42km)に到着。 5時間22分32秒である。この付近は自宅からも近く、練習に時々来る所である。 このチエックポイントには、私達より1時間送れてスタートした3人のランナーが一緒に到着していた。この内の一人のランナーにどこかで会ったような気がしていた。 後日の福知山マラソン大会で、偶然会って分った事であるが、丹後100kmウルトラマラソン大会の80km付近のコンビニ前で、疲れて寝込んでしまったのを起こして上げた人(SMさん)であった。ここのチエックポイントで頂いた、暖かいお粥が何とも美味しく、スタッフのこれを食べて元気になって下さい、と言う暖かさが伝わって来るようだった。

  ここで元気を頂いてHFさんと一緒に出発、大仏殿のそばを通り奈良坂に出る。 このあたりから京都に向かう道が、昔の奈良街道である。しばらく行くとコンビにの前に妻と義弟が応援に来てくれていた。ここで一緒に走っていた3人で写真を撮り“気を付けて”の言葉を背に別れる。このあたりから京都府の木津町に入る。 しばらくして、木津川に架かる泉大橋を渡り、右に折れ旧道をしばらく走ると第5のチエックポイントアスピアやましろ(52.8km)が見えてくる。すると先ほど別れた妻がまたそこにいた。どうしたのかと聞くと、「アスピアやましろ」がどんな所か見に来たとのこと。タイムは6時間36分37秒である。ここでカップ麺を頂き、トイレを済ませ妻と別れる。 しばらく行くと、玉水橋の近くで女性ランナー(GSさん)が、どちらに行って良いのか分らず迷ってしまいそうだと言って、差し支えがなければ一緒に連れて行って欲しいと言う、時間を競っているのでもないので、それでは一緒に行きましょうと色々な話をしながら、HFさんとGSさんと私の三人が前を行ったり後ろを行ったりしながら走る。

  まもなく第六チエックポイントの城陽・24号線分岐(61.2km)に到着。7時間51分45秒である。ここに坂本さんが居てしばらく話をする。今日の早朝スタートする時、天候が心配されたが、阪本さんが「天候が良くなると思えば良くなる」と、言っていたのがこの頃にはマラソン日和になっていた。そんな話をしながら、阪本さんは何事も良いように“思う”事が、大事なのだと言っている様に私には思えた。
 ここから国道24号線沿いの歩道をしばらく走ると、第7チエックポイントの宇治槙島町(68.7km)に到着。8時間52分08秒である。HFさんが少し遅れて到着し先に行って下さいと言うので、GSさんと二人で出発する。ここから更に国道24号線を北上、京滋バイパスを抜け宇治川に架かる観月橋を渡る。観月橋からは太閤秀吉が月見の宴を催した往時を偲ぶ屋形船が見える。
 しばらくして国道24号線と別れ、名神高速を抜けると伏見に入る。このあたりの道は歩道もなく車の行き交うのも多いが、昔の街道の面影を残している。 やがて伏見稲荷や東福寺のそばを通り過ぎると、第八チエックポイントの東福寺駅前高架下(78.5km)に到着。10時間21分27秒である。
 この頃には小雨が降り出していた。 いよいよこれから京都寺巡りである。東大路通りを北上、やがて清水寺の参道に入るが秋の観光シーズンのせいか、人が一杯で歩くのがやっとである。そんな人ごみの中をランニング姿で歩くのに少し違和感を感じながら行く。上りきった所で本堂?の前で一礼をして引き返す。やがて八坂神社の前を通り平安神宮に向かう。この頃には小雨が降ったり止んだりを繰り返していた。やがて平安神宮の大鳥居をくぐりさらに北上し銀閣寺に向かう。ところがどこでどう間違ったのかだんだん迷路に入っていく。途中の道で出会った人に何度も道を聞きながら、やっと銀閣寺の標識のある哲学の道に出るがかなり遠回りをしたようである。

  やがて第九チックポイントの銀閣寺参道(87.0km)に到着。先に銀閣寺の前まで参道を上って行くが、ここは清水寺のように混んでいないので直ぐに行って戻って来る。 11時間59分59秒である。ここで休息を取り、ずっと一緒のGSさんと今出川通りを西に向かって走り出す。途中、前から走ってくる練習中のランナーが止まって、どこから来てどこまで行くのかと尋ねられる。その人は四万十川のTシャツを着ていたウルトラランナーである。少し話をして別れる。しばらくして道を南に下り御所の横を走る。 さすがに広くなかなか通り過ぎない。丸太町通りに出ると左に折れて南へと下って行く。すぐに二条城が見えて来る。ここで先ほど会ったランナーとまた出会う。

 やがて最後の第十チエックポイントの西本願寺前(94.8km)に到着。後残りわずかである。ここで後ろから来た二人のランナーと四人になる。後僅かなので折角だから四人で一緒にゴールしませんか?と提案。揃って出発、途中からずっと一緒だった女性ランナーのGSさんも、必死で頑張っている。練習中のランナーが、道案内をしながら前を走ってくれる。京都駅を抜けた所でゴールの力の湯までの道を教えてもらって別れる。東寺を過ぎる頃には周囲は暗くなっているが、国道1号線で車の通行も多く周囲は明るく照らされている。やがて名神高速道路が見えてくる。もうゴールはすぐそこである。橋を渡った所でスタッフが合図をしてくれている。 「力の湯」ゴールが見えた四人が手をつないで万歳のゴール。13時間56分37秒である。ひとりひとり完走のメタルを首に掛けてもらう一番嬉しいときである。今日一日、いにしえの道奈良〜京都を歴史を感じながら、楽しく走ることが出来ましたのも、スタッフの皆様の大変なご苦労のお陰と感謝申し上げます。一緒に励ましあって走った多くのランナー達、チエックポイントで色々頂いた美味しい食べ物や飲み物、それ以上にスタッフの方々に頂いたランナーへの心遣い、本当にありがとうございました。


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